シーセンス・エクスペリエンスで高まるパーソナライゼーション

17 Jun 2015 | By Yukiko Koizumi

1日目のハイライト

パブリッシングに携わるもの者と技術者、マーケッターが一堂に会するシーセンスエクスペリエンスを好きにならない理由はないでしょう。200人近いメディア業界のエキスパート達が、データとパーソナライゼーションのエキスパートであるシーセンスが先週開催したイベントに参加するために、陽光ふりそそぐオスロに集結しました。

デジタル・ファースト・メディア、CEOのジョン・ペイトン氏によって、”CXXP”の愛称のハッシュタグ上で親しまれたイベントは、出版業界への警鐘と共に幕を開けました。「私が働いているのは、変革を嫌う体質の業界です。我々の業界にソリューションを販売している誰かに聞いてみればわかります」と、ペイトン氏。20年近くインターネットを使用しているにも関わらず、出版業界はトレンドを取り上げるのが遅れがちです。このことは出版業界の収益低下に直結しています。「このことは収益の危機を招きます。常に新しい収益の源泉を見つけようとしなければなりません。新しいスキルも必要ですし、新しい人々も必要です」

ハッシュタグ#CXXPでのホットトピックは、Facebookが発表した”Instant Articles”とアップルのNewsアプリケーションに関するニュースでした。両社はパブリッシャーに変わってコンテンツを配信する手段を模索しています。これらはパブリッシャーの味方でしょうか?敵でしょうか?

「インターネットには収益の大部分を吸い上げていくブラックホールが存在しています」と、ペイトン氏は世界最大のサーチ・プロバイダーと、ソーシャル・ネットワーク会社について語り始めました。「彼らはモバイル広告市場の70%を握っています。それがこの業界の全てです。他はたいしたことはありません。パブリッシャーは自分の顧客に対して何一つ知らないに等しく、わずかに知り得ることは、自分たちの情報がタダで抜かれているということです」

ペイトン氏はノルウェー、オスロのステージ上でさらに語ります。「現時点で、我々の顧客に対する知見は相対的に0です。旧来のビジネスの知見では、今の我々が必要としているレベルのデータを想定していませんでした。私達はこの想定を再考しなければなりません。なぜなら私達はあぶく銭のためにこれらを散財してしまっているからです。Facebookは壁に囲まれた楽園を構築し、私達は彼らに我々のデータを提供し続けています」

ペイトン氏のカナダ人らしい現在の出版業界のまとめは、以下の様なものでした。「『旧来のメディアは、今儲けられる場所に群がっている、これからなにが儲かるかではなく』ウェイン・グレツキー(注:カナダの元プロアイスホッケー選手)の有名な名言と同じように。関連し続けたいと願うパブリッシャーにとっては、時間が勝負なのです。『なにかが頭から一晩中離れなかったら、始める時が来たのです。私達にはそれを得るための充分な時間はないかもしれませんが、動き続け、成長し続けることは出来るのですから』」

ジョン・ペイトン氏の5つのメディア業界への提言

  • 恐れることをやめよう
  • 多数の読者は、大きな売上のポテンシャルを秘めていることを理解しよう
  • データを他に漏らさない。データ戦略を今すぐ練り始めよう
  • 自分たちのデータのコントロールを取り戻そう
  • 独りでは出来ないかもしれないことを理解しよう。データ戦略のための正しいパートナーを選ぼう

香港でビッグに、そして世界へ

サウスチャイナモーニングポストは、東南アジアの地方紙と考えられてきました、エドワード・スノーデンの記事が世界中で爆発的にブレークするまでは。サウスチャイナモーニングポストのウェブサイトの刷新と時を同じくしたことや、英語の記事であったこともあり、PVは爆発的に伸びました。

チェン氏はシーセンスエクスペリエンスのステージから次のように語りかけました。「私達は香港の信頼できる情報ソースとして知れ渡りました。インターネットを利用して、私達はグローバルの購読者を惹きつける記事を掲載することを決意したのです」

サウスチャイナモーニングポストは、世界中から注目を浴びる機会を得たことで、世界から見た香港と中国の位置を自覚しました。「世界の中国に対する関心は大きくなっています。我々の英語サイトに対する関心は、他の香港のメディアよりも大きくなっています。それは、中国で本当は何が起こっているかを世界中が知りたがっているからです。僅かな期間で、サウスチャイナモーニングポストの登録者数は3倍に増加し、その殆どは国外からの登録者です」

サウスチャイナモーニングポストは、サイトのパーソナライゼーションを通してユーザーのエンゲージメントの向上や、会員の有償化の収入の向上を目的として、シーセンスのテクノロジーを利用しています。これにより個人のプロファイルに基づいたコンテンツのターゲティングやパーソナライズされた情報の提供を行っています。

A/Bテストもまた重要な手法です。「編集者は、従うべきKPIを持っています。もし、記事が目標を下回った場合には彼らは別の写真、違う文言に差し替えて、結果をリアルタイムに追跡します」とチェン氏は述べました。

互いに学び合う

シーセンス創設者のジョン・M・ラービックが登壇し、オーディエンスのマーケッターおよびパブリッシャーに向けて、「互いに学び合いましょう!」と明確なメッセージを発信しました。「パブリッシャーはよりよいマーケッターに、マーケッターはよりよいパブリッシャーにならなくてはなりません。」ブランドの例を挙げてラービックは語りました。「大手のパブリッシャーよりも多くのジャーナリストを雇っているブランドも出てきています。コンテンツマーケティングと呼ぶか、なんと呼ぶかはお任せしますが、これが現実です」

いくつかのブランドは既に自身がメディア企業となり、作成したコンテンツを配信するための独自のチャネルを持っています。これらの企業はオーディエンスの注目とロイヤリティーを獲得するため、パーソナライゼーション技術など、パブリッシャーが現在模索しているものと同様のツールを求めています。反対に、出版業界でも、収益拡大のためにマーケティング戦略に取り組む必要が出てきています。

適切なコンテンツを準備する

Webパブリッシングの黎明期、紙媒体の限界がついに壊されたと言われました。今日、パブリッシャーはかつてないくらい‘スクリーン’資産について考えているようです。

「パブリッシャーは用意すべき正しいコンテンツを見つけるのに、非常に苦労しています」と、ピアノメディア CEO のケリー・リーチ氏は述べました。「同様に、彼らはマーケッターとして市場に乗り込むことにも苦労しています」彼女はあるサイトを紹介しました。彼らは自己分析ののち、よりよいマーケッターになり、オーディエンスが何を買いたいのか理解することによって、遂に難題を解決する方法を見出しました。それは会員登録であったり、またはドキュメンタリーであったり。

ピアノメディアの顧客である Týždeň サイトは、ペイウォールの内側にあるドキュメンタリーを宣伝する中で、かつてないくらい会員登録への関心が集まったことに気がつきました。そのため、彼らは顧客が求めているものを押し出し、成功を収めました。「彼らは実際に自作ドキュメンタリーのセクションを、サイトに追加することを決定しました。」とリーチ氏は述べました。誰かが言ったように、人々が求めていることを理解することはよい結果をもたらすのです。

ビデオはウェブから花形の座を奪った

「ビデオがオンライン上の主要なコンテンツとなりつつあることは、避けられない事実です」ランプ CEO のトム・ウィルデ氏は シーセンス・エクスペリエンスのステージに登壇し、語りました。「ですが、ビデオはウェブの大半を占めるテキストとは異なり、やや取り扱いが難しいのです。ビデオを検索エンジンやインデックスサービスの対象にするのは、容易ではありません」ウィルデ氏は検索、記事の文脈、ユーザーの行動そしてトレンドのレコメンデーションを織り混ぜた、Video Discovery Matrix について説明しました。正しいテクノロジーを用いれば、ビデオは突然格段に使いやすく、そしてアクセスし易くなります。

ランプ社は新しいビデオ機能の提供を開始しようとしています。ビデオコンテンツを分析し、パーソナライズし、そして究極にはマネタイズするため、シーセンスのテクノロジーを用います。それは、例えば個人の関心に応じて、あるいはやや古くてもユーザーとの関連性が非常に高いビデオを選ぶなど、ビデオコンテンツをプロモーションする際、より高いインテリジェンスを発揮することを意味しています。

それはパブリッシャーにとってどんな意味があるのでしょうか?マーサ・スチュワート料理教室が、すばらしい事例を示してくれます。フムス(ひよこ豆のディップ)のレシピが隠れている番組内の正確な時間が、突如簡単に見つけられるようになりました。同様に、マーサが使っている新しいフードプロセッサーなどの広告が、ビデオ内で発せられたキーワードに関連して突然表示されるようになりました。

7つのメガトレンド

ESV ダイナモ CEOのベンテ・ソリッド・ストレハウグ 氏は現代のウェブマーケッターのエッセンスについて講演し、この日のキーノートをウェブの7つのメガトレンドで締めくくりました。モバイル、パーソナライゼーション、ソーシャルメディア、電子マネー/モバイルウォレット、クラウド、ビッグデータ、そしてモノのインターネット(IoT)についてです。そして、彼女のこの日のメインテーマ、マルチチャネルアトリビューション。

「私の理想の未来では、ウェブページは、インサイトを提供しパフォーマンスマーケティングをどこよりも効率的に、賢く行うため、シーセンスのテクノロジーを利用しています」 ストレハウグ氏は述べました。「ウェブサイトはリターゲティングの起点とすることができ、パーソナルかつ洗練されたやり方で顧客にターゲティングメールを送信するためのストラテジーを構築することができます」